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松原メイフラワー病院

【兵庫県】 松原メイフラワー病院 院長 松原 司 先生に聞く Personalized Medicineの提供をめざす松原メイフラワー病院の関節リウマチへの取り組み

松原メイフラワー病院 院長
松原 司 先生

施設概要

メイフラワー号を彷彿させる造りの病院

松原メイフラワー病院は,きめ細やかな対応と充実した治療をめざす兵庫県内陸にあるリウマチ性疾病の専門病院です.病院名の由来ですが,リウマチ医療のフロンティアたることを目指し,1620年に新天地に大きな夢を求めて英国から米国のボストンに渡航したピルグリム・ファーザーズ(英国清教徒)らが乗った船の名を取り入れています.
当院は,平成11年の開設以来,リウマチの最先端医療の実践に加え,より良い治療にむけての研究・治験にも注力しています.

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関節リウマチ治療の現状

これまでの関節リウマチ(RA)治療は,DMARDs やメトトレキサート(MTX)が薬物療法の主役でしたが,これらの薬剤を用いても,臨床症状が改善される患者さんは20〜30%に留まり,関節破壊の進行抑制は困難でした.しかし,RA 病態形成の原因のひとつとされるTNFαを阻害する生物学的製剤の登場により,治療成績は格段に向上しました.これらの薬剤の関節破壊抑制効果については,多くの臨床試験報告で明らかにされていることは周知のとおりです.当院の場合でも,生物学的製剤を使用することで,発症2〜3年未満の患者さんでは,70%以上が低活動性となっています.

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生物学的製剤使用の実際

投与対象

医学的観点からは,従来のRA治療薬を投与しても活動性が残っていて,関節破壊の進行が予測される患者さんが投与の対象ですので,このような患者さんには積極的に使用しています.また,MTX 投与歴がなく,発症3年未満の早期例にヒュミラ®とMTX を併用投与すると2年間でのm-TSS(modified total sharp score)の平均変化量は1.9に抑えられていたという海外の報告1) や,ヒュミラ®とMTX 併用投与例における罹病期間3年未満/以上の関節破壊抑制効果の層別解析では3年未満例での使用メリットが大きいという海外報告2)などがあるので,早期からの使用が薬剤の有用性をよりうまく活用するポイントになると考えています.

薬剤の選択

最近では遺伝子多型の解析手法から特定薬剤とその効果ならびに副作用の発現/ 非発現に関連する有意なSNP(single nucleotide polymorphism) の識別が可能になりつつあり,個人ごとの薬剤に対する反応性の違いに関する研究が進められています.当院ではこうした研究に注目し,RAのpersonalized medicine(個の医療)の提供のために遺伝子多型診断による各種生物学的製剤に対する反応性の研究を進めており,将来的にはその研究成果を薬剤選択に反映していくことを検討しております.
しかし現時点では,患者さんのコンプライアンスを高めることを目的に,自己注射も可能な皮下注射と病院で行う点滴投与のいずれを希望されるかなどを考慮し薬剤を選択しています.

MTX との併用効果

生物学的製剤とMTX を併用すると,関節破壊の進行に対する相乗的抑制効果が得られ,かつ薬剤への抗体発現が抑制されることがわかっているので,生物学的製剤を投与する際にはMTX併用を原則としています.
抗体発現という点では,例えばヒト型抗体製剤であるヒュミラ®は,マウスのたん白を成分に含まないので薬剤への抗体が発現しにくいことが期待されますが,関節破壊抑制効果に目を向けると,PREMIER 試験などの海外の臨床試験1)でも証明されているとおり,単剤での使用と比較し,MTX との併用のメリットが有意に示されていますので,生物学的製剤とMTX の併用は,私の診療上重要なポイントとなっています.
当然ながら,MTXの副作用が強く出る患者さんへは,単剤でも使用できる生物学的製剤を選択するなど,患者さん一人ひとりにあわせた治療を行っています.

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生物学的製剤の安全性

生物学的製剤の安全性に関しても,副作用の発現/非発現に関連する有意なSNPの識別が可能になりつつあり,将来的にはその解析の応用が期待されます.

副作用リスクへの対策

主な副作用である易感染性についての対策は,(1)結核の既往やツベルクリン陽性の患者さんには抗結核薬の予防投与を行う,(2)外出後のうがい・手洗いの励行指導,(3)β-D グルカンの定期測定などがあげられます.特にβ-D グルカンはニューモシスティス肺炎発症に先行して高値推移することから,重要なスクリーニングと捉えております.しかしながらもっとも重要なことは,免疫抑制によって感染リスクが高まることを患者さんに十分に理解していただいたうえで,「感染」の兆候・諸症状を把握いただき,自らが率先して感染予防に心がけていただくように指導することだと考えています.
また,皮下投与製剤では,注射部位硬結,皮疹などがみられることもありますので,自己注射をされる患者さんには,このような症状がみられた場合には注射部位を変えるよう指導します.

クリニカルパスによる安全性向上

当院では独自のクリニカルパスを作成し,もれのないチェック体制下で投与を行っています. パスの有用性は,治療の工程チェックを標準化することにより,スタッフの知識の積み上げが可能になることです.この結果,より高質で安定したレベルの医療を患者さんに提供できます.また,検査値異常などに対しても迅速な対応が可能となり,有害事象の早期発見・早期治療の実現につながります.

治験コーディネーター舟橋 惠子 先生

パスの使用を徹底することにより,検査データなどを確実に残すこと ができます.薬剤毎の効果発現時期や臨床検査値の変動といったデータの集積は,客観的な視点での薬剤選択・評価の判断材料として有効に臨床に活かすことができます.
また,無効例の検出や有害事象などのレトロスペクティブな調査にも活用できる利点もあります.

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今後のRA 治療の展望

治療計画:

早期から生物学的製剤を導入すると寛解率向上,関節破壊抑制が可能になるという点については異論のないところですが,寛解した患者さんに対するその後の治療法については,いろいろ検討されています. 現在国内で進められている研究のひとつは,早期の患者さんに生物学的製剤を投与し,寛解を2〜3ヵ月維持できた場合には従来のDMARDsやMTX に切り替え,再び活動性が上昇した時点で再度生物学的製剤を使用するという治療計画での予後を検討する研究です. この研究の目的は,早期の患者さんに使用し,医療経済・家庭経済を鑑みながら,生物学的製剤の恩恵をより多くの患者さんに享受していただく裾野拡充が可能かどうかを検討することです. 生物学的製剤で寛解後に生物学的製剤を用いない従来の治療法を行って2年以上寛解維持が可能であったとする海外の報告(BeST study)3)もあります.

Personalized medicine:

当院では,200例を超える症例のSNPs解析で生物学的製剤のアルゴリズムを作成しました.MTXなどの多くの作用部位を有する薬剤の場合は,アルゴリズムの精度(accuracy)は60〜70%と報告されていますが,生物学的製剤の場合はTNFαあるいはIL-6 だけと作用部位が特異的なので,90%以上の精度が得られます.今後,さらに薬剤毎に症例を集積し,プロスペクティブな臨床試験を実施できれば,現状では混沌としている選択基準が明確となり,個人毎の遺伝子に応じた personalized治療が可能になると考えています.
現時点では,ある特定の薬剤の患者毎の有効性は確率でしか事前には判断できませんが,私たちが進めている遺伝子多型解析に基づく個別治療の提供が可能になれば,前もって効果や副作用が予知できるようになると考えています.そうなれば,薬剤を効果的に使用できることに加え,無効例や副作用に対する治療費などの間接的費用の削減も可能になり,医療費が高額になる生物学的製剤を用いる場合の医療経済効果も期待できます. つまりは,個別治療の実現がRA の患者さんへの多大な恩恵をもたらすと考えています.

フロンティア精神でRA治療に取り組むスタッフ

さらに,SNPs解析によるのアルゴリズムで,RA が短期間にstage V / Wにまで進行するタイプと,stage T / Uを維持する遺伝子群が存在することも明らかにされていますので4),個別の治療戦略をたてることも可能になると期待しています.
当院では,フロンティアスピリッツを忘れずに,最新・最善の治療を今後も提供したいと考えています.

  • 1) Breedveld, F. C. et al.: Arthritis Rheum., 54, 26-37 (2006)【PREMIER study】
  • 2) Jamal, S. et al.: Arthritis Rheum., 28, 413-9 (2009)【DE019 study subanalysis】
  • 3) Goekoop-Ruiterman, Y.P. et al.: Arthritis Rheum., 52, 3381-90 (2005)【BeST study】
  • 4) Matsubara, T. et al.: Arthritis Rheum., 58(9), suppl. S525 (abstr.#970)(2008)
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病院のご紹介

2009年6月現在

名称 松原メイフラワー病院
所在地 兵庫県加東市藤田944番地25
許可病床数 一般病床  100床
診療科目 ●整形外科 ●外科 ●内科 ●リウマチ科 ●リハビリテーション科
許可・承認 運動器リハビリテーション料(T)
脳血管疾患等リハビリテーション料(U)
栄養管理実施加算
薬剤管理実施加算
総職員数 120名
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松原 司 先生プロフィール

2009年7月現在

昭和54年3月 神戸大学医学部卒業
昭和57年4月 スイス チューリッヒ大学医学部リウマチ科研究教官
昭和60年4月 兵庫県のじぎく療育センター 整形外科医長
昭和60年6月 米国テキサス大学医学部(ダラス)リウマチ科研究教官
昭和61年9月 神戸大学整形外科講座 助手
平成3年9月 神戸大学整形外科講座 講師
平成6年7月 松原クリニック 院長
平成7年5月 聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター講師
平成11年6月 松原メイフラワー病院 院長(現在に至る)
  • 日本リウマチ学会:評議員,理事 ,日本臨床リウマチ学会:評議員,理事
  • 日本炎症再生医学会評議員,日本軟骨代謝学会評議員 ,日本関節病学会評議員
  • 日本整形外科学会専門医 ,中部日本整形外科災害外科学会会員
  • アメリカリウマチ学会会員,他多数
<所属学会>
日本リウマチ学会,日本整形外科学会,日本臨床リウマチ学会,日本炎症再生医学会
日本関節病学会,日本骨代謝学会,アメリカリウマチ学会 等多数
<賞罰>
日本リウマチ学会賞(平成1年)

注釈:ヒュミラ®の添付文書に定める用法・用量は以下の通りです.

ヒュミラ®添付文書より(関節リウマチのみ抜粋)

効能・効果
関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
効能・効果に関連する使用上の注意
(1)本剤の適用は,原則として既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に限定すること.ただし,関節の構造的損傷の進展が早いと予想される患者に対しては,抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるが,最新のガイドライン等を参照した上で,患者の状態を評価し,本剤の使用の必要性を慎重に判断すること.
用法・用量
通常,成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回,皮下注射する.なお,効果不十分な場合,1回80mgまで増量できる.
安全性情報の詳細につきましては,製品添付文書をご参照ください.
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