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井上病院・群馬リウマチクリニック

【群馬県】 井上病院・群馬リウマチクリニック リウマチ患者さまの生涯ケアをめざす全スタッフ一丸の取り組みの実際

理事長
井上 博 先生

群馬リウマチクリニック院長
磯 武信 先生

井上病院院長
櫻井 武男 先生

施設概要

医療法人井上病院は,昭和22年(1947年)に高崎駅徒歩5分の群馬県でもっともアクセスの良い地に発足したリウマチセンターの機能を持つ関節リウマチ(以後RA)専門の医療機関です.一度罹患すると生涯にわたり治療やケアが必要とされるRAの患者さまと,外来,入院,手術,リハビリテーション,在宅ケアまで含め,一貫して向き合うことをモットーに,医師だけでなく,看護師なども含めた全スタッフのレベル向上を図りつつ,患者さまの身体の痛み,そして心の痛みまでを緩和できるリウマチセンターであり続けたいと考えています.
当院では,RAのより充実したトータルケアのため,本院に加え,車での通院に便利で広々とした「群馬リウマチクリニック」を前橋市と高崎市の中間に開設し,患者さまの利便性向上と受け入れの拡大も図っています.
さらに,RA治療は患者さまと生涯向き合ってはじめて完結するとの考えのもと,入院期間制限のため退院を余儀なくされつつも自宅には帰れないといったRA患者さまにも対応可能な「老人介護保健施設 太陽」も併設しました.

  • JR高崎駅徒歩5分の井上病院
  • 車でのアクセスが良い広々とした群馬リウマチクリニック
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RAの薬物療法

RA患者さまの場合,メトトレキサート(以後MTX)を使用しても寛解導入率は約30%でしたが,生物学的製剤の登場により,7~8割の患者さまで寛解導入が可能になったとの印象があります.
当院で生物学的製剤を投与している患者さまは全体の約25%で,年齢層でみると60歳代の患者さまが最も多く,次いで50歳代,70歳代の順です.生物学的製剤の関節破壊進行抑制効果に注目すれば,発症早期の比較的若い患者さまでのベネフィットが大きいと考えられますが,生物学的製剤は年齢や罹病期間に関わりなく患者さまそれぞれのステージにおいて状態を改善していると思います.

このように,生物学的製剤はRA治療に大きな光をもたらしましたが,さらなるRA治療成績の向上のためには,いくつかの解決すべき点もあると思います.
そのひとつは,現在使用可能な生物学的製剤を用いても,依然として2~3割の患者さまにおいては効果が十分ではありません.こうした患者さまへの新たな治療選択肢の登場を願って,当院では新薬の臨床治験にも積極的に取り組んでいます.当院では医師,看護師,薬剤部,放射線科,医事課が常に一体となって治療・治験に取り組んでいるため,一元化した管理のもとで治験遂行ができると自負しています.治験に取り組むことは,医療施行側にとって新薬への期待と新薬開発参加のインセンティブが得られるメリットがあり,参加いただく患者さまにも経済的負担軽減につながるメリットがあると思います.
もうひとつの課題は薬剤費です.せっかく良い薬剤が開発されても,経済的理由により,その恩恵を受けることができない患者さまがいます.とくに「子育て世代」の患者さまにとっては,住宅ローンに相当する額を医療費に充てることになるので,現実的には容易ではありません.一人でも多くの患者さまが優れた新薬の恩恵を受けることができるよう,所得案分でもよいので,外来高額医療費の限度額を低下してもらえるよう願っています.こればかりは,患者さまの視点に立脚した医療を標榜していても,法律に従わなければならず,歯がゆい思いをしています.

若い医師へのモチベーションが生物学的製剤の最大の効果

私がRAと向き合い始めた昭和40年代のRA治療は鎮痛剤で疼痛を緩和することしかできませんでした.それでもRAに悩む患者さまを救いたいという想いに賛同する数人の仲間で勉強を始めました.
その後,金製剤の登場により薬物療法は小さいながらも1歩前進しました.さらに,人工関節もでき,次第にRAに取り組む医師たちも増えてきました.また,ステロイドやNSAIDによる副作用,あるいはRA進行に伴うアミロイドーシスなどに対処するために,整形外科の医師だけでなく,内科系の医師との連携も必要となり,「リウマチセンター」の考え方が定着してきました.
そのような状況下で様々な治療法の試行錯誤を繰り返しましたが,できることといえば患者さまの話を聞いてあげることくらいで,それが非常に苦しかった時代が続きました.その後,MTXの使用が可能になり,若干の進歩を感じました.そして今世紀になり,生物学的製剤という画期的な治療手段が提示され,治癒も全くの夢物語ではなくなり,隔世の感があります.しかも,患者さまの好みや通院の便,投与法の違いで薬剤を選択できる時代になってきました.
生物学的製剤のメリットは効果の偉大さにあることは疑う余地のないところですが,長年苦しみながらRAの道を歩んできた私としては,このような新しい治療薬の登場でリウマチを標榜する若い医師が増えてきたことを非常にうれしく感じています.

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生物学的製剤副作用の管理

生物学的製剤の使用にあたっては,副作用には十分気を付けています.薬剤投与前のメディカルチェックの徹底,インフルエンザワクチン接種推奨,高齢者においては肺炎球菌ワクチン接種推奨,手洗い・うがい励行指示などの一般的感染対策に加え,爪切りや台所仕事での軽い切り傷や虫さされなどからも感染を発生することが考えられるため,このような事象に対する注意,さらには歯周病,中耳炎,膀胱炎などを発症した際の注意も説明しています.
こうした注意を守ることが副作用を抑制することの基本ですが,治験時に副作用が少なかった経験から,投与開始後の密接なケアと注意深い観察も,感染症などの発現抑制に影響を及ぼすと考えております.したがって,些細な訴えであっても,患者さまの話をよく聞き,よく診ることも重要と考え,コメディカルスタッフにも副作用や注意点への傾注を徹底しています.医師だけが薬剤の効果や副作用を知っていてもトータルケアはできないので,全スタッフへの教育にも力を入れ,全体としてのレベル向上を目指しています.
また,自己注射を希望される患者さまに対しては,看護師がきめ細かくアドバイスするとともに,注射方法の確認を行っています.

結果を予測して患者さまに説明できる生物学的製剤

これまでのMTXを含むDMARDの治療では,寛解率は初期の患者さまでもせいぜい50~60%程度でしたが,生物学的製剤は初期であれば80~90%の寛解率が見込めるため,患者さまに結果を予測して話ができる点が魅力のひとつです.
2週間に1回投与のヒュミラ®は,患者さまにとって利点の大きい投与間隔でしょう.点滴投与の薬剤より時間的拘束が少ない点を好まれる患者さまが多いようです.また,皮下注射のわりには効果の発現が早いという個人的印象もあります.
副作用については,いずれの生物学的製剤においても共通で,感染リスクの高い患者さまへの投与を避けることが基本です.インフルエンザなどについては,RAの患者さまは,人ごみに出て行くことが一般の人より少ないし,感染に対する注意は医師から指示されているので,罹患率だけからいえばとくに高いということはないかもしれませんが,感染後に重症化しやすいリスクがあるかもしれないと危惧しています.
生物学的製剤の登場はRA治療の現状に光明を与えましたが,今後,病因が解明され,遺伝子関与の研究が進めば,さらにRA治療は大きく進歩するものとこれからの進歩に期待しています.

進行が早い aggressive RA では早期からの生物学的製剤が有用

発症初期に滑膜炎をうまく抑制・コントロールできれば,人工関節置換術を回避でき,患者さまのQOL低下を抑制できるので,関節の破壊をいかに食い止めるかがRA治療の焦点だと思います.なかには3~5年で歩行困難になってしまう方もいるので,進行が早い方には早期から生物学的製剤とMTXを使用します.
この治療でのメリットのひとつはステロイド剤減量が期待できることです.関節破壊がみられ,そこに加齢変化が加わった患者さまの場合は,NSAID減量は難しいかもしれませんが,良い方向に導いていることは確かでしょう.
ヒュミラ®は,2週間に1回投与なので患者さまにとっての利便性が高いと思います.他の生物学的製剤と同様に,MTX との併用で高い効果をあげていますし,皮下投与なので,時間的拘束もありません.また,2週間に1回という投与間隔のため,月1~2回程度の受診により副作用の発現を早期に把握できる点も評価しています.
副作用への対処という観点では,肺気腫や糖尿病などの合併症があるなど感染リスクが高い患者さまにおける生物学的製剤の選択材料の1つとして,半減期の長短を考慮しています.

看護師のサポートを伺いました。

井上病院 関口看護師

井上病院
関口看護師

患者さまの指導で気になる点は,手洗い方法や清潔の認識です.
一般人の場合でも,指の間や手首などは洗い残しがありがちですが,とくに指の変形がある方には変形部分の洗い方の指導が必要だと感じています.患者さまはいろいろ工夫はされているのですが,やはりそこに一言アドバイスがあると良いかと思います.
また,自己注射の指導では,患者さまは自宅のテーブルの上は清潔な場所という認識ですが,やはり「消毒していない場所はすべて不潔」といったことをわかりやすく指導することが必要だと教えられました.

群馬リウマチクリニック 皆川看護師

群馬リウマチクリニック
皆川看護師

患者さまはマイナス思考になっていることも少なくないので,気持ちを汲み取り,話をしやすいように接しています.そのためか,病状だけでなく,時にはプライベートなことまで話をしてくれます.
自己注射の指導にあたっては,指導する側も自身で体験しないとわからないので,自分のお腹を使って針を刺してみました.毎日何人もの患者さまに注射をしていても,自分で刺すにはかなりの勇気が必要でした.そのような行為を手の不自由な患者さまに薦めるにあたっては,患者さまの気持ちを考えながらていねいな指導が必要だと改めて感じています.

薬剤師のサポートを伺いました。

井上病院 内山薬局長

井上病院
内山薬局長

RAの患者さまは一般にコンプライアンスは良好です.しかし一方で,休薬すると薬剤の効果がすぐに減衰すると思い込み,多少具合が悪くても押して休薬しようとしない患者さまもいらっしゃるので,熱があったり咳が続いている場合は,医師に相談すること,そして無理をしないようにといったことを指導しています.また,痛みや腫れをがまんしてでもステロイドを減量したいと考えておられる患者さまもおられますが,そうした患者さまにはがんばり過ぎない減量もアドバイスしています.
なお,1週間に決められた量を服用するMTXにおいては,服薬日を記入することにより,正しく服用してもらえるように努めています.

群馬リウマチクリニック 桑原薬局長

群馬リウマチクリニック
桑原薬局長

患者さまに薬剤を手渡す際には,副作用や用法・用量をわかりやすく説明することに加え,例えばMTXを飲む日には枝豆やレバーなどの葉酸を多量に含む食品は控えた方がMTXの効果を阻害しにくいなどといったアドバイスをとおし,薬剤師として患者さまのお役に立ちたいと考えています.
また,RAの患者さまに窓口で説明をする際,薬剤提供側が患者さまの障害にもう少し配慮が必要ではないかと感じることもあります.具体的には手指が変形していても容易に薬剤を取り出せる工夫や,人工唾液噴霧剤の噴霧ノズル位置調整ができるような工夫です.こうした配慮があれば患者さまのストレスも少しは軽減されるのではないかと考えています.

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RA トータルケアをさらに進めるために

当院では,病院,診療所,老健施設を併せ持っているため,今後はその強みと専門性を活かし,より幅広く患者さまを受け入れ,かつ基礎的研究分野にも力を注げるようになればよいと考えています.元気で経過の良い患者さまの場合は,現状でもかなりの満足を得ていただけるものと思っていますが,行き場を失ってしまう患者さまもいます.そうした患者さまを手放すことはできないので,患者さまの支持があるかぎり,より良い医療の提供をめざして努力を続けたいと考えています.
また,病診連携のありかたについても種々の議論が展開されていますが,私は初期の診断が最も難しいと思うので,最初は専門家が診るべきであろうと36年の経験を通して考えています.患者さまの1/3は最初の2~3回の診察で診断ができますが,1年位経過を診ないと診断ができない患者さまもいます.とくに軽症で進行が遅い患者さまの場合は,専門医が診ないと見落とす可能性も考えられます.診断がついて,治療方針もある程度固まれば,診療所で注意深く観察しながら治療を続けるという方式が良いのではないかと考えています.
一人ひとりの患者さまに密着し,施設スタッフ全員が志しを等しくし,それぞれの患者さまに最適な治療を生涯続ける覚悟で今後ともスタッフと力を合わせて励みたいと考えています.

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病院のご紹介

医療法人 井上病院

2009年12月現在

名称 医療法人井上病院
所在地 群馬県高崎市通町55
理事長 井上 博
院長 櫻井 武男
開院 昭和22年3月
診療科目 ●リウマチ科 ●整形外科 ●内科 ●外科 ●リハビリテーション科
施設認定 (社)日本リウマチ学会教育施設、(社)日本整形外科学会研修施設
群馬リウマチ関節外科研究会事務局

医療法人 井上病院 群馬リウマチクリニック

2009年12月現在

名称 医療法人井上病院 群馬リウマチクリニック
所在地 群馬県高崎市井野町1040
理事長 井上 博
院長 磯 武信
開院 平成15年6月
診療科目 ●リウマチ科 ●整形外科 ●内科 ●骨粗鬆症外来 ●線維筋痛症外来
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井上 博 先生(理事長)プロフィール

2009年12月現在

専門診療科 リウマチ科・整形外科
各種認定資格 日本リウマチ財団評議員・企画運営委員・登録医
日本リウマチ学会指導医・専門医
日本臨床リウマチ学会評議員
日本整形外科学会専門医
日本医師会認定産業医
日本体育協会公認スポーツドクター
役職 群馬リウマチアカデミー代表、群馬リウマチ関節外科研究会事務局長
日本リウマチ財団企画運営委員 他
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磯 武信 先生(群馬リウマチクリニック院長)プロフィール

2009年12月現在

専門診療科 リウマチ・関節外科・整形外科
各種認定資格 日本リウマチ学会指導医・認定医
日本リウマチ学会評議員
日本関節病学会評議員
リウマチの外科研究会評議員
役職 群馬臨床リウマチ症例検討会世話人
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櫻井 武男 先生(井上病院院長)プロフィール

2009年12月現在

専門診療科 リウマチ・整形外科(専門:人工関節・関節外科)
各種認定資格 日本リウマチ学会指導医・専門医,同学会評議員
日本関節病学会評議員
リウマチの外科研究会評議員
日本整形外科学会専門医
役職 群馬リウマチ関節外科研究会会長
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田村 靖之 先生(井上病院副院長)プロフィール

2009年12月現在

専門診療科 リウマチ・整形外科
各種認定資格 日本整形外科学会専門医・認定スポーツ医
日本リウマチ学会専門医
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注釈:ヒュミラ®の添付文書に定める用法・用量は以下の通りです.

■用法・用量(関節リウマチのみ抜粋)

通常,成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回,皮下注射する.なお,効果不十分な場合,1回80mgまで増量できる.

安全性情報の詳細につきましては,製品添付文書をご参照ください.
製品基本情報「基本製品情報」ページへ

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