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筑波学園病院

【茨城県】 筑波学園病院リウマチ科 科長 尾登 誠 先生に聞く Aggressive therapyと笑いと楽しさを組み込んだリハビリテーションによるADL・QOL向上を目指す取り組み

筑波学園病院リウマチ科 科長
尾登 誠 先生

施設概要

茨城県つくば市の財団法人筑波麓仁会筑波学園病院は,1975年の開業から地域住民の方々の健康保持に総合的な取り組みを行っている総合病院です.同院リウマチ科は,リウマチ(以後RA)の患者さんのADL・QOLの改善を目指し,トータルケアを行う専門科です.炎症及び疼痛の軽減・除去をスタートラインとし,健康な方々と同レベルの日常生活を可能にすることを目的に,薬物療法,手術療法,リハビリテーションを適切に組み合わせた積極的な治療を行うとともに副作用や合併症にも十分な注意を払い,プロセスもアウトカムも良好になるように,全力を尽くしています.

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当科の基本ポリシー;aggressive therapy for active life

RAの患者さんのなかには,発症前と同じようにハイキングを楽しんだり,仕事に復帰できるレベルまで改善することを希望される方もいれば,家事ができる程度に改善すれば十分と考える方もおられるので,治療のゴールを患者さんごとに設定します.そのうえで,ゴールを見すえた必要かつ十分な治療を行います.
治療のゴールを低めに考えていた患者さんの多くは,最初から発症前の状態に戻ることは叶わないこととあきらめておられることが少なくありません.しかし,実際に患者さんとよく話をしてみると,大多数の方がより高いADL・QOLを望まれていることがわかるので,私は”aggressive therapy for active life”を信条に,それぞれの患者さんの病態に応じて出来得る最善の治療を心がけています.つまり,手術で良くなると思われる患者さんには積極的に手術を奨めますし,生物学的製剤の使用により改善が期待できる患者さんには生物学的製剤を奨めます.

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生物学的製剤使用の投与対象 — 指標は炎症

最近では,発症早期からの生物学的製剤使用が関節破壊を抑制し,予後の改善に有用であるという考え方が広がりつつあり,私も基本的には早期から積極的に生物学的製剤の投与を行っています.とくに,全身的に関節の炎症がみられる患者さんに対しては,年齢や罹病期間とは関係なく生物学的製剤の投与を考慮に入れます.
また,たとえstageVであっても滑膜に炎症がみられるという患者さんには生物学的製剤投与を考慮します.このような患者さんにおいては,生物学的製剤で炎症を抑制できると将来の手術の必要性も低下します.ただし,罹病期間が10年以上に及ぶ患者さんで関節破壊が進行している場合,炎症がほとんどみられないことがあります.このような患者さんには生物学的製剤投与よりも人工関節置換術を優先します.
短期的な関節における抗炎症効果だけに焦点をあてれば,高用量のステロイド薬の方が即効的効果が望めるかもしれません.しかし,長期に高用量のステロイド薬を継続使用すれば,骨粗鬆症,糖尿病,動脈硬化促進による心筋梗塞,脳卒中などを誘発するおそれがあることは周知のとおりで,ステロイドの減量の観点からも,やはり生物学的製剤を考慮するべきだと考えます.骨粗鬆症により3個以上の腰椎圧迫骨折がおこると寝たきりになるリスクが高まり,余命が短縮されるといういくつかの報告もあり,ステロイド薬に頼り過ぎた治療は本末転倒の転帰となる可能性もあるので,高齢者であっても生物学的製剤の投与を考慮することも必要だと私は考えます.また,生物学的製剤では細菌性肺炎発症が懸念されるという考え方もありますが,2006年のWolfeらの報告1)によれば,ステロイド薬の方がそのハザードリスクが大きいことも示されています.

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生物学的製剤投与の実際 — 重視するのはコンプライアンス

当院では呼吸器内科,放射線科との協力体制のもとで生物学的製剤を使用しています.疼痛や腫脹に悩むリウマチ患者さんを前にすると「ぜひとも生物学的製剤を用いて治したい」と考えてしまいますが,生物学的製剤の使用にあたっては,慎重さも大切です.投与にあたっては,呼吸器の検診を呼吸器内科専門医にお願いし,CTの読影を放射線科専門医にお願いし,安全性を確認してから開始します.呼吸器内科専門医に,アクセルを踏み込みたい私に対するブレーキの役割を担っていただいているといえます.
生物学的製剤投与開始後も,患者さんの肺合併症定期チェックや,継続して呼吸器を診る必要のある患者さんのフォローをお願いしています.肺炎や結核を発症してしまった場合のケアもお願いしています.
当院は結核指定病院でもあり,また,腎臓内科,糖尿病内科,消化器内科,外科,眼科,耳鼻科とそろった総合病院のため,当該分野の専門医の協力を容易にあおげることは私にとっても,心強いかぎりです.
なお,現在,国内で使用可能な生物学的製剤4剤(アダリムマブ<ヒュミラ®>,インフリキシマブ,エタネルセプト,トシリズマブ)は,以下の視点から使い分けています.

1) コンプライアンス

抗TNFα阻害薬では,コンプライアンスを重視して投与薬剤を選択します.点滴製剤の場合は,投与の間隔は長いものの,点滴に1〜2時間かかりますし,その後も2〜3時間の経過観察が必要なので,最低でも半日の拘束となります.一方,皮下注射製剤は短時間で投与が可能なうえ,自己注射も可能です.ヒュミラ®の場合は来院あるいは針刺が2週間に1回だけなので,利便性が高く,コンプライアンスも良好と思われます.

2) メトトレキサート(以後MTX)忍容性

抗TNFα薬はMTXとの併用で非常に優れた効果が得られますが,腎障害や間質性肺炎を合併している患者さんにはMTXの使用が困難なため,MTX併用が必須ではないヒュミラ®などの抗TNFα薬,あるいはIL-6阻害薬を選択します.

3) 結核発症リスク

結核発症リスクが通常リスクの場合は,抗結核薬予防投与のもとに抗TNFα薬を使用しますが,ハイリスクの場合はIL-6阻害薬を使用します.

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笑いと楽しさを盛り込んだリハビリテーション

※個人情報保護法のため,本サイト掲載許諾が未確認の患者さんの顔にモザイク処理をかけさせて頂いておりますので,ご了承下さい.
リハビリテーションを始める前にはリウマチ体操でウォーミングアップピラティスインストラクターの指導でピラティスエクササイズにチャレンジ
リウマチオリンピック種目のキックベースボール.気が付くと体が抵抗なく動いていますピンポン玉レースは楽しみながら参加できるリウマチオリンピックの種目です
歌って踊って楽しさ満杯のリウマチハワイアンフェスティバル流れるようにゆったりとした動きの太極拳で全身の活力が取り戻せるかもしれない
リズムが聞こえてくると,手足もいつの間にか動いてきますリウマチ教室では自助具も紹介
筑波嶺の岩場を登るリウマチの患者さん自分にあったペースと方法を選んで,参加者全員が頂上に.

従来のRAリハビリテーションは,無理をしない「守り」重視の考え方が中心でしたが,今日では疾患や障害があっても患者さんの望みに応じたレベルまでの機能回復にむけてサポートすることというように変わってきていると思います.
そこで数年前に試みとしてピラティス(呼吸法を活用しながら体幹の深層筋を鍛えるエクササイズ)をリハビリテーションに取り入れてみたところ,一番喜んだのは患者さんでした.患者さんの動きも私の想像を越えたものでした.落語を聞くとサイトカインが減少してRAが改善されるという報告2)に示されるように,楽しいことをすることが治療になるということをこの試みを通して実感しました.
この試みに勇気付けられ,その後当院では,太極拳,ハワイアンダンス,スポーツ大会,筑波山ハイキングなどもリハビリテーションに取り入れてきました.筑波山にはロープウエイやケーブルカーがあるので,全行程を徒歩で行く,ケーブルカーで途中まで登り,後半を歩く,ロープウエイを使って最後の200mだけを歩く,スタッフの協力で車椅子で行くなど,個々のレベルに合わせた楽しみながらのリハビリテーションが可能です.
このような思い切ったチャレンジができるようになった背景には,生物学的製剤の登場に伴う治療のパラダイムシフトにより,治療目的が<疼痛の改善>から<健康な人々と同じ生活を楽しめる状態を可能にすること>になったことであることは間違いのないところだと確信しています.

つい最近ではゲームソフトを取り入れたリハビリテーションも試してみました.これはスクリーンを見ながら重心を移動させたり,リモコンをテニスラケットやカヌーのオールに見立て,その動きや速度をゲーム結果に反映することができる家庭用ゲームソフトですが,体力に合わせて楽しみながら身体を動かすことができるので,和気あいあいのリハビリテーションとなります.

  • テレビゲームソフトを用いたバーチャルテニスマッチ.手首に巻き付けたリモコンがラケット替わり.ナイスショットに思わずカモーン!
  • 重心移動に応じてボールが転がるソフトを用いれば一人でもリハビリが楽しめる
  • テレビゲームソフトを用いたカヌー競技.白衣をスポーツウエアに着替えた看護師のかけ声で4人が1隻のカヌーに乗って競い合ううちに思わずエキサイト
  • バーチャルスキーレースに参戦してバランストレーニング
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患者さんのより高いADLとQOLのために

今日のRA治療は,細分化された各分野の専門医が自己の専門分野に目を凝らす分担医療に陥る傾向がみられますが,RA専門医であれば,RAというひとつの疾患に伴うすべての症状に対処できる知識と技術を持ち備えるべきであろうと考えています.そのような医師が核になって初めて治療を行って医師と患者の信頼関係が成立するのではないかと思います.
QOLを向上させる意味において,リハビリテーションは従来よりもその重要性が増しています.当科が進めている笑いと楽しみを盛り込んだリハビリテーションは,笑いと免疫の研究で分かってきたように,笑うことで免疫状態を改善し,それがRAの症状改善に繋がると考えられています.
これからも,RA患者さんのQOL向上にむけ,スタッフと力を合わせて頑張りたいと考えています.

[参考文献]
1) Wolfe F, et al.: Treatment for rheumatoid arthritis and the risk of hospitalization for pneumonia: Associations with prednisone, disease-modifying antirheumatic drugs, and anti-tumor necrosis factor therapy. Arthritis Rheum., 54(2), 628-634, 2006
2) Yoshino S, et al.: Effects of mirthful laughter on neuroendocrine and immune systems in patients with rheumatoid arthritis. J Rheumatol., 23(4), 793-794, 1996
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病院のご紹介

名称 財団法人筑波麓仁会 筑波学園病院  (日本医療機能評価機構認定病院)
所在地 茨城県つくば市上横場2573-1
院長 折居 和雄
開院 昭和50年7月1日
診療科目 ●総合診療科 ●代謝内科(糖) ●腎臓内科 ●神経内科 ●呼吸器内科 ●消化器内科 ●循環器内科 ●リウマチ科 ●小児科 ●心療内科 ●内視鏡 ●脳神経外科 ●外科・消化器外科・肛門科 ●乳腺内分泌外科 ●形成外科 ●心臓血管外科 ●皮膚科 ●泌尿器科 ●眼科 ●産科・婦人科 ●整形外科 ●耳鼻咽喉科 ●リハビリ科 ●歯科口腔外科 ●放射線科 ●麻酔科
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尾登 誠 先生プロフィール

<所属>
財団法人筑波麓仁会 筑波学園病院リウマチ科 科長
<所属学会>
日本整形外科学会,日本リウマチ学会,日本リハビリテーション学会
日本リウマチ関節外科学会,日本人工関節学会,関東整形災害外科学会
東日本整形災害外科学会,日本癌学会,日本癌治療学会
<資格>
日本整形外科学会認定整形外科専門医,リウマチ専門医,
日本リウマチ財団登録医,日本リウマチ学会認定リウマチ認定医,専門医
<専門領域>
リウマチ,関節外科,人工関節,骨軟部腫瘍
<論文・著書>
関節リウマチの人工肘関節置換術におけるクリティカル・パス.関節外科 21(8), 953-957, 2002
新しい消炎鎮痛薬の実際ー関節リウマチ.Pharma Medica 21(4), 133-136, 2003

注釈:ヒュミラ®の添付文書に定める用法・用量は以下の通りです.

ヒュミラ®添付文書より(関節リウマチのみ抜粋)

効能・効果
関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
効能・効果に関連する使用上の注意
(1)本剤の適用は,原則として既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に限定すること.ただし,関節の構造的損傷の進展が早いと予想される患者に対しては,抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるが,最新のガイドライン等を参照した上で,患者の状態を評価し,本剤の使用の必要性を慎重に判断すること.
用法・用量
通常,成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回,皮下注射する.なお,効果不十分な場合,1回80mgまで増量できる.
安全性情報の詳細につきましては,製品添付文書をご参照ください.
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