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本荘リウマチクリニック

【富山県】本荘 茂 院長に聞く 患者さんのQOL向上へのチャレンジ

本荘リウマチクリニック院長
本荘 茂 先生

施設概要

私は,金沢大学の研究室に在籍中は炎症性サイトカイン抑制をテーマに研究を行い,その後東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターや高岡病院リウマチセンターでの臨床経験を通して関節リウマチ(以後RA)に向き合ってきましたが,患者さんとじっくり向き合った医療をめざし平成22年3月に北陸初の関節リウマチ専門クリニックとして高岡市に本院を開院しました.
開院にあたっては,患者さんにリラックスした雰囲気のなかで治療を受けていただくために,待合室などはホテルをイメージした内装とし,BGMはオルゴールでクラシック音楽を流すなどのこだわりを実現しました.一方,診療は落ち着いた雰囲気のなかで治療法の説明や相談をしながら進めていくことが大切と考え,診療室は明るくシックな雰囲気にしました.また,患者さんの待合室での快適さを考え,夏場はエアコンの風向に気を配る,冬場は床暖房設備を活用し,膝や肘に直接風が当たらないように配慮する,膝が痛くても楽に立ち上がれるように椅子の座面を通常より5cm高くする,外の景色をみながら本や雑誌を読めるといった工夫も他施設を参考にし,とりいれました.

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当院のRAに対する取り組み

RAの発症は現時点ではコントロールできませんが,発症してしまった患者さんでも健康な人と同じような人生を送ることが今日では可能になってきています.ひとりでも多くの患者さんに発症前と同じように仕事も継続でき,遊びにも行けるという生活を送っていただけることを目標にしています.そのために,当院は小規模な個人クリニックではありますが,最先端の治療方法を取り入れ,大学病院クラスの大病院と同様な治療を行っています.現時点でのRA治療の重要な選択肢である生物学的製剤も積極的に取り入れ,その投与例も,のべ例数では1,000例以上に達しています.当院では全患者さんの63%に生物学的製剤を用いた治療を行っています.

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生物学的製剤使用の実際

本荘リウマチクリニック院長 本荘 茂 先生

生物学的製剤の使用のポイントは,①非可逆的関節破壊がみられる前から投与を開始すること,②どの製剤であってもメトトレキサート(以後MTX)併用を原則とすること,③併用薬も含めた有害事象の発現をできるだけ抑制し,有害事象が発現した場合には速やかな対応を行うことに集約されます.

生物学的製剤投与開始のタイミング

生物学的製剤の最大のメリットは関節破壊の進行抑制です.したがって,関節破壊がレントゲンなどの画像上で確認される前に投与を開始しないと,十分にメリットを活かすことができません.当院では血中CRP値や血中抗CCP抗体が高値を示す,あるいは上昇傾向が伺われる場合を投与開始のタイミングの指標としています.
また,罹病期間が短く,画像的に関節破壊の所見がない場合でも,関節破壊マーカーであるMMP3値が高値,あるいは肩や下肢の荷重関節に炎症がある場合には速く進行することが予測されるので,このような患者さんには早期からの投与を考慮します.

MTXとの併用

生物学的製剤のなかにはヒュミラ®のようにMTX併用が必須ではない場合もありますが,すべての生物学的製剤投与にあたっては,より高い寛解率と寛解継続率のためにMTX併用を原則としています.
若くて腎機能に障害のない患者さんの場合は週8mgまでを使用します.腎機能が低下している患者さん,あるいは生理機能の低下が考えられる高齢の患者さんの場合には,MTXは週4mg程度に減量します.
脱水症状や急性腎不全で急激に血中濃度が上昇すると骨髄抑制の副作用が強く出ることがあるので,特に夏の間は注意が必要です.
また,MTXを投与できない患者さんには,MTXの変わりにタクロリムスを生物学的製剤と併用することもあります.

有害事象の発生抑制とそのコントロール

薬物療法による副作用は,生物学的製剤による副作用と併用薬による副作用を分けて考える必要があります. 生物学的製剤投与中の患者さんに対しては,医療者側は副作用が重複する併用薬(ステロイド)による感染症発症のリスクを軽減するために,ステロイド減量を考えることが重要です.当院では,生物学的製剤を投与している患者さんのほとんどでステロイドの減量が可能になっていますし,離脱可能になる患者さんも約半数に達しています.また,生物学的製剤により,手放せなかった消炎鎮痛薬(NSAIDs)を減量できる患者さんも多く,消化管出血などの副作用の減少がみられます.
当院では,このような併用薬の用量調整によって生物学的製剤の副作用を抑制することに加え,異常を感じた場合,その原因を患者さんの自己判断に委ねることは危険なので,どんな些細なことでも受診・あるいは相談をするような呼びかけを行っています.患者さんが単なる風邪と思っても肺炎である可能性は否定できませんし,ただの咳だから心配ないと素人判断で考えても間質性肺炎である可能性も否定できません.当院では異常を感じて来院した患者さんには検温,胸部レントゲン撮影を行い,感染症が疑われる患者さんには末梢血酸素飽和度や白血球数測定も行います.「そこまでしなくても大丈夫なのではないか」と自問自答することもありますが,患者さんの異変を見逃さないよう,万全を期した対策を行っています.
当院ではひとりひとりの患者さんと密にコミュニケーションをとりあっているため,医師と患者さんの距離感が総合病院よりかなり近く,気軽に相談してくれます.これは地方の個人クリニックの良さのひとつであると同時に,このような関係を築けたことが躊躇ない生物学的製剤使用を後押ししてくれているように感じています.

効果減弱例への対応

いずれの生物学的製剤においても,長期に投与を継続すると効果の減弱がみられます.
当院では,ヒュミラ®投与で効果の減弱がみられた場合は,可能であればMTXの増量を試みます.しかし,現実的には増量に伴って口内炎や骨髄抑制,腎・肝障害などの副作用も頻出するようになるため,ヒュミラ®と適当量のMTXとタクロリムスの3剤併用を行います.この3剤併用療法も思わしくない場合は,他の生物学的製剤への切り替えを行います.

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生物学的製剤がもたらしたもの

長年RAの患者さんをみてきましたが,患者さんに希望を与えることができるようになったとことが生物学的製剤の最大の恩恵といえると思います.以前は患者さんに「よくなりますか?」と聞かれると答えに窮したこともしばしばありましたが,生物学的製剤が用いられる今日では患者さんの顔をみて「よくなりますよ」と自信をもっていえることが多くなりました.昔は病気を苦にして自殺を図る患者さんもいましたし,いわゆるリウマチ気質といわれるような暗くしずんだ患者さんも少なくありませんでしたが,最近では明るい患者さんが増えたと実感しています.
また,整形外科の領域においても,RAの薬物療法を行う医師はマイナーグループであった印象がありますが,生物学的製剤登場により,私たちのようなRAを専門とする医師にも光があたるようになったと感じています.
さらに,従来のRA治療は手術療法に頼ることが一般的な帰結でしたが,今後手術件数は減少するであろうと思います.当院では滑膜切除術件数は激減しましたし,人工関節置換術も少なくなりました.ただし,手術件数に関しては,施設によっては増加しているところもありますので,移行期にあるのでしょう.

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今後の課題と展望

院長のポリシーと情熱に共感して一丸となってRAに取り組む本荘リウマチクリニックのスタッフ一同

当院は,地方にありながら中央の大病院と変わらない治療を提供することで,患者さんのQOL向上をはかってきましたが,費用負担は悩む患者さんが大勢いることも事実です.
また,もっと広い視点でみれば,これからのRA治療においては生物学的製剤は避けて通れないことですが,生物学的製剤に関する研究会や勉強会が各地で開催されているものの,施設によっては,副作用の不安や医師個人の考え方の相違により,生物学的製剤の恩恵に浴することのできない患者さんもまだ大勢おられ,治療内容の詳細について知るすべのない患者さんにとっては不幸なことです.この点も今後改善されるべき問題点です.
今後は研究会などをとおし,研究と臨床経験をもとに,施設間,医師間の生物学的製剤に対する温度差を解消できるよう,微力ながら尽力したいと考えています.

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病院のご紹介

2010年11月現在

名称 本荘リウマチクリニック
所在地 富山県高岡市京田473-1
院長 本荘 茂
開院 平成22年3月
診療科目 ●リウマチ科
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本荘 茂 先生プロフィール

2010年11月現在

昭和62年 金沢大学医学部卒業 同整形外科学教室入局, 大学院入学
昭和63年 福井県立病院整形外科勤務
平成元年 厚生連滑川病院整形外科勤務
平成2年 舞鶴共済病院整形外科勤務
平成3年 金沢大学附属病院整形外科,金沢大学附属癌研究所勤務
炎症性サイトカインの制御に関する研究を行う.
平成6年 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター 助手
平成8年 金沢大学大学院卒業 同整形外科助手
平成9年 済生会高岡病院整形外科およびリウマチセンター医長
平成17年 リウマチセンター部長
平成22年 本荘リウマチクリニック開業

注釈:ヒュミラ®の添付文書に定める用法・用量は以下の通りです.

■用法・用量(関節リウマチのみ抜粋)

通常,成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回,皮下注射する.なお,効果不十分な場合,1回80mgまで増量できる.

安全性情報の詳細につきましては,製品添付文書をご参照ください.
製品基本情報「基本製品情報」ページへ

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